SWeeT†YeN


「あれ? 柏原」


いたのね?

月夜に照らされたテラスで一人……物憂げに真っ暗な庭園を見つめる執事。


綺麗……
白く照らされた横顔も、その立ち姿も……


柏原は、本当に美しいわ。
私の大切な執事……


でも、たまに情緒不安定になるのね。

手が焼ける執事だこと!



「茉莉果様……今にも、私に向かって投げそうな、そのスワンをこちらに渡してください」


チッ……
バレバレね。

私もまだ修業が足りないわ。



「こんな所で何してるの? 私、何回も呼んだのよ?」

職務怠慢で父に言いつけてやる!

白鳥を渡すと、柏原は屋敷の中に入って元の位置に戻す。




「申し訳ございません……着替えを自分でなされたのですか? お嬢様、チュニックの裏表が、逆にございます」


「えっ……いっいいのよ! これがパリのトレンドファッションなのよ! パリジェンヌは皆こんな格好して街を歩いてるわよ」


< 377 / 554 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop