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「あれ? 柏原」
いたのね?
月夜に照らされたテラスで一人……物憂げに真っ暗な庭園を見つめる執事。
綺麗……
白く照らされた横顔も、その立ち姿も……
柏原は、本当に美しいわ。
私の大切な執事……
でも、たまに情緒不安定になるのね。
手が焼ける執事だこと!
「茉莉果様……今にも、私に向かって投げそうな、そのスワンをこちらに渡してください」
チッ……
バレバレね。
私もまだ修業が足りないわ。
「こんな所で何してるの? 私、何回も呼んだのよ?」
職務怠慢で父に言いつけてやる!
白鳥を渡すと、柏原は屋敷の中に入って元の位置に戻す。
「申し訳ございません……着替えを自分でなされたのですか? お嬢様、チュニックの裏表が、逆にございます」
「えっ……いっいいのよ! これがパリのトレンドファッションなのよ! パリジェンヌは皆こんな格好して街を歩いてるわよ」