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デート初心者の私は、当たり障りのないようにホテルの和洋折衷のコースディナーにやって来た。
ここは和の料理人は、皇室にも熱い支持を受けている一流料理人だ。
洋のシェフはフランスの五つ星レストランで三年間も料理長を勤めていた国内でも数少ない貴重な人材だ。
一品目は氷を削られてできた器に入った前菜が運ばれてくる。タイとアワビのお刺身ね。
「茉莉果、何が目的なんだ?」
ナツが鋭い目線で私を睨みつけた。さっきから落ち着きもなくて心配そうなナツ。
迷子の子猫ちゃんみたいね。
「大丈夫よ。あ、もしかして料理が気に入らない? 違う場所へ行きましょうか?」
この氷の器が気に入らなかったのかしら……
ひょっとして、中華がよかったとか?
わがままな子猫ちゃん。
「ちがう! なんで俺がここにいるんだよ? って意味!」
腕を組み、ジーッと観察するように私を見つめるナツ。
緊張の一瞬ね。世紀の大告白を私から求めるのねナツ! あなた罪深い男だわ。