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「それをやるから。取引しないか?」
柏原はニヤリと、不敵な笑みを浮かべる。
そしてゆっくりと立ち上がると、パラパラと縄が床に落ちた。
「おまえっ! どうやって縄を解いた?」
ひげ面男達が、おもちゃみたいな銃やナイフを柏原にむけて叫ぶ。
「結び方が甘いんだよ……もっと、固く結ぶべきだったな?」
柏原は、バカにした態度で冷たく一瞥をすると、私の縄も解いてくれた。
そういえば柏原は、縄跳び大会が大好きなのよ。
縄の扱いには慣れているのね?
流石だわ♪
久々に自由になった腕は、冷たくなって上手く動かない。
柏原が優しくさすってくれるので、徐々に感覚が戻ってきた。
「それに女性を縛り付けるなら、体に負担を少なく縛り付けないとな」
色んなポリシーがあるのね。是非一度負担の少ない縄跳び大会を開催してみたいわね柏原。
「それ以上動くなっ!」
興奮するひげ面達は、大切そうにピラミッドの石とお面を包んでいた。
――RRR
「あら、こんな時に電話だわ」
本当に、今日は賑やかな日ね?
ついに私の時代がきたのかしら?
「警備会社か……それとも警察だろうか?」
柏原は、わざとらしく首を傾げクスリと黒い笑みを漏らす。
「警察? おまえが、話せ! 変な事を言ったら撃ち殺すからな!」
銃を震わせながら、冷静だったひげ面兄貴は柏原を脅す。
「かしこまりました」深いため息を吐きながら、柏原は壁にかかる電話に近づき受話器を上げた。
「はい……はいそうです……ええ…………」
四角い顔したひげ面は、柏原の持つ受話器から必死に声を聞き取ろうとしている。
「そんなに聞きたいか? 警察の交渉役からだ。残念だったな」
柏原は、無表情に受話器を差し出す。
「大切な食器が無駄にならなくてよかった……おまえ達包囲されたぞ」