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「そのお嬢様を、連れていく。身代金も要求できるし、男より女の方が色々楽しめるしな」


ひげ面兄貴が、決断したように柏原にナイフを突き付けた。


そのお嬢様?


後ろを振り返っても誰もいない事から判断しても……

「そのお嬢様」とは私のことかしら?


「この人を、連れていくなら……俺はお前達を今ここで殺すぞ」


柏原は私を守るようにゆっくりとひげ面三兄弟の前に立ちはだかった。



「三対一でか? 武器もないくせに?」


柏原は、クスリと笑うとナイフを指さした。


「おい……いいナイフだな。どこで買った?」


柏原が、人の話を聞かないのは得意技だ。




まったく困った執事よね。


ナイフを購入した店を聞いて、ローストビーフでも切るつもりなのね? 柏原



「そんなのあんたに関係ないだろ!」


「そうか? 強盗に押し入る予定で買ったんだろう? どうして、その長さを選んだ?」


「何がだ! 分かりやすいように話せ!」



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