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『君達の、要求を聞きたい。扉を開けてくれないか? 電話ではなく直接話がしたい』
声の主は、深みがあるセクシーな声をしている。
ずっと聞いていたくなるような優しい声だ。
それなのにひげ面兄貴は、顔を赤くして電話機に怒鳴った。
「自由に逃してくれるなら、ここから出てやる!」
『わかった……君達の要求に応えられるように、話し合いをしよう。俺の名前は津田だ』
隣にいた柏原が、チッと小さく舌打ちをした。
「どうしたの?」
「何でもございません……」
小声でそう言いしかめっ面をする執事。
そうね。
さっきまで、ひげ面達は大人しく柏原の話を聞いていたのに、津田さんの間違え電話のせいでひげ面達は見向きもしなくなってしまったわ。
悔しいのね?
柏原
指を絡ませて執事の手を握り締めると、グッと力強く握り返してくれた。
長身ひげ面と四角顔したひげ面は、手を取り合い震えたままだけど
兄貴は、何故かプンプン怒っている。