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「次は、食事の提案をしてくるぞ」
そう言うと柏原は、電話機を顎で指す。
『よかったら、暖かいおにぎりとお茶を用意した。取りに来てくれないか?』
電話機から流れる人情味ある声は、とても親切で優しそう。
これでイケメンだったら、私は惚れちゃうかもしれない。
だって絶対に柏原より性格が良さそうだもの♪
「行くとどうなる?」
「様子を伺うだけだろう。俺は、警察じゃないから分からない」
「確かに腹が減った。おい! お嬢様を人質にしながら取りにいってこい!」
「おいっ」と呼ばれた長身ひげ面は、自分を指差しキョロキョロとした。
「あっ兄貴……俺ぇ?」
「そうだ、お前だ! 早く行け」
「えっ……じゃあ、一緒におにぎり取りに行ってもらっても、よろしいでしょうか? あの、もちろん! 執事さんに誓って指一本触れませんから!」
「私もっ? ええ……めんどくさっ」
柏原は、「隙をみて逃げてください。お嬢様、ここは危険です」と素早く耳打ちをする。