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「貴女の、その甘い表情がどれほど男を魅了するかご存知ですか? 何故何度も何度も他の男に色目を使うのですか?」


「使ってないわよー!」


頬を滑る指先が、首から胸元にゆっくりと降りていく。
優しくアロマオイルをたっぷりと塗り込むように、執事の指使いは、いつだって最高だ。


「この体は簡単に他の男を受け入れてしまうのですか?」



首をぶんぶんと横に振った。


着ていた使用人用のワンピースは、着脱に便利なようにフロントボタンになっている。


柏原は、床に落ちていたチョコフォンデュ用のスティックを手にすると……優しく微笑んだ。


「……柏原」


ヤバイわ……
恐い……

その笑顔が、あまりにも完成されすぎていて恐すぎるのだ。



スティックが、私の喉元に突き付けられると……ゴクリと唾を飲み込んだ。


こんなに、恐い思いするの久々だわ……

ひげ面や、テロリストの比じゃない。


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