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「でも柱になるのだけは、もう嫌よ。なんであんな事したの?」
「さようでございますか? とてもよくお似合いでしたのに……私も気が動転していたのですよ。荒療治で貴女が恐怖から解放されると思いついたのです」
昨夜の事を、軽く笑って済ませようとする執事。
「それに私が縛り上げた貴女は世界で一番美しかった」
「何よ、それ」
抱き付いていた腕を掴まれ、頭の上で一纏めに押さえこまれる。
「あの様な状況下では、人は大抵の場合『不安』『恐怖』というものに支配されるのに……」
不安?
恐怖?
「恐かったわよ。充分恐かったわ。それに、どうせ刺されるなら痛くないように刺して……って不安だったわよ」
「お嬢様……やはり貴女は普通じゃない」