SWeeT†YeN



「昨夜は、よく眠れましたか?」


津田さんは、心配そうに私を見つめてくる。


「津田さん、ええ昨夜は柏原が手加減してくれたから、よく眠れたわ」


私には有能な執事がいるから問題ないわよ。柏原の後ろから答える。


「てっ……手加減?」



だけど津田さんは、困ったように視線を左右に泳がせると柏原を凝視する。


「ええ、お嬢様はチェスをなさると……よく眠れるのです。少し手加減をしたのを我が主は、お見通しのようです。申し訳ございません、あまり時間がないのですが」


「はっ……チェス。チェスですか、ああ……申し訳ないです。それでは、担当医の部屋にご案内します」



津田さんが歩き出すと、柏原もその後に続いた。


「柏原?」


「さあ、お嬢様も参りましょう。ここは、広い建物だ。迷子になられぬよう、ご注意ください」



むっ!?


迷子!?


子供じゃないんだから、なるわけないわよ!



< 448 / 554 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop