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「昨夜は、よく眠れましたか?」
津田さんは、心配そうに私を見つめてくる。
「津田さん、ええ昨夜は柏原が手加減してくれたから、よく眠れたわ」
私には有能な執事がいるから問題ないわよ。柏原の後ろから答える。
「てっ……手加減?」
だけど津田さんは、困ったように視線を左右に泳がせると柏原を凝視する。
「ええ、お嬢様はチェスをなさると……よく眠れるのです。少し手加減をしたのを我が主は、お見通しのようです。申し訳ございません、あまり時間がないのですが」
「はっ……チェス。チェスですか、ああ……申し訳ないです。それでは、担当医の部屋にご案内します」
津田さんが歩き出すと、柏原もその後に続いた。
「柏原?」
「さあ、お嬢様も参りましょう。ここは、広い建物だ。迷子になられぬよう、ご注意ください」
むっ!?
迷子!?
子供じゃないんだから、なるわけないわよ!