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 ナツは、慌てた様子で顔を赤くさせると、私の腕を強引に掴んだ。


「ど、どうしたのかしら? ナツ!」


 なんて強引なの? そんなに二人きりになりたいのかしら……私も二人きりになりたい!

 ナツの乱暴な扱いに、「お嬢様」と止めにはいろうとした柏原に「大丈夫だから、そこで待ってなさい」と命令する。

 いいのよ柏原。愛の逃避行しちゃうかもしれないけど、泣かないでね、とウィンクした。柏原は、びくっと肩を震わした。


 私は、強引なナツに身を委ねると出入り口に連れ拐われた。



 このまま2人でどこか遠い異国へ消えてしまうのね。姫と王子だわ。

 お父様にお願いして地中海に城でも建ててもらおうかしら。

 ナツと暮らすなら絶対に綺麗な海の側がいいわ。

 なんとなくナツって山より海のイメージが強いもの。青いエーゲ海も捨てがたいわよね。


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