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茉莉果ちゃんは、私にドレスを貸してくれた。
ちょうど背丈が、同じだった私は凄く凄く嬉しかった。
『パパ! ママも見てよ! 茉莉果ちゃんがドレスを貸してくれたの~』
船の旅は、毎日が夢みたいに楽しかった。
『みてみて~イルカが、ジャンプしてる~』
時折姿を見せる、海の生き物はその夢をさらに色付けしてくれていたんだ。
だから、嵐がきて……
茉莉果ちゃんと、パパとママが波に拐われたと聞いた時は、それも夢だと思った。
私は、夢をみているんだ……
全部が夢だ……
『茉莉果……あなた、茉莉果がこんな所にいたわ……』
お母様のか細い冷たい腕が、私に差し出される。
茉莉果ちゃんのお母様は、嵐にうたれてずぶ濡れだった……私は、茉莉果ちゃんに借りたドレスが濡れてしまうと思って、その腕を避けてしまったんだ……
『あなたは、茉莉果よ……私の娘だわ』