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 体育館の外に出ると、この高校の生徒が好奇心旺盛に私達を眺めている。


「なになに? ナツの彼女? すごく綺麗」と言われて、私は愛想よくニッコリと微笑んで手を振った。

 ナツは掴んだ腕を離さずに、ぐんぐん進む。人目が少ない通路の壁に私を追い詰めて手をつくと……そのカッコいい顔を歪めた。


「今日は、何しに来た?」

「ナツに会いに来たのよ」


 ナツは本当に照れ隠しが下手だ、怒ったような表情で照れを隠しているのがよくわかってしまう。
 
 でも私は、もっとストレートな愛情表現が好きよ。


 今度2人でよく話し合ってみよう。今後の為にも小さな問題も早めに解決させる事が大切よね。

 地中海で一緒に暮らすのだから。もしくはエーゲ海。


「はぁ……もう、超迷惑……」


 ナツは緊張の糸が切れたように小さなため息を吐くと、私を見つめてから穏やかな表情になる。


「わかったよ。一人で飯食うのが嫌なんだよな? 着替えてくるから待ってろ」


「えっ?」


「この前おごってもらった借りもあるし、俺はあんなに豪華な店には連れてけないけど」


 えぇ?

 ひょっとしてナツからのお誘いかしら?

 そうよね、そうとしか捉えられない発言だわ。


「喜んでお供いたします」

 スカートの端を持ち淑女のポーズでお誘いをお受けする事にした。

 ナツの顔がひきつったけど、こうして私に人生二回目のデートがはじまった。


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