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「私の部屋はどこ?」


「お嬢様、こちらです」



別荘の階段を駆け上がる。

こんなの捨てられたも同然じゃないの。


せめて、柏原も一緒にいさせてくれたらよかったのに!



「お嬢様、旦那様と奥様からすぐに迎えに来るとの伝言です」


「そんなの嘘に決まってる」


二階の部屋に入る。カーテンのひかれていない窓から走り去っていく長いリムジンが見えた。赤いテールランプが角を曲がると見えなくなった。



「茉莉果様、何かお飲み物をご用意いたしましょうか? 紅茶がお好きだとうかがっておりますが」


「いいえ、いらないわ……」







柏原───






『孤独な貴女は美しい……』

いつか執事が、そう言っていた。



ねえ? 柏原

今の、私は美しい?



酷く醜く哀れな顔をしていないかしら……


柏原、お願いよ。




そうだ!




鞄から携帯電話をとりだした。でも、圏外の表示がされている。

頭上でぐるぐると振り回してみた。こうすると電波が集まるかもしれないから

だけど、携帯は圏外を告げている。



「茉莉果様、携帯電話は使えません。固定電話を使われますか?」


「いいえ……けっこうよ」




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