SWeeT†YeN
冷たくなった素足を擦り合わせながら、甘い湯気が上がるカボチャのポタージュを運んできた柏原に質問をする。
だけど、柏原はただ微笑むだけで答えはくれない。
「麓の市場で、地元の主婦の方が手作りしたジャムが売っていました」
小さなビンに、紫色をしたジャムが詰まっている。『ブルーベリー』とだけ書かれた質素なラベルは、確かに手作りっぽい。
それから、柏原は焼き立てのトーストが入ったバスケットを置く。
「麓(ふもと)って事は、ここは山の中なのね」
耳を澄ませても、木々のざわめきしか聞こえない。ここは、相当深い山の中なのかしら?
キョロキョロと様子を伺ってみても、何もわからない。