SWeeT†YeN


 私と彼の二人だけの生活は、もう五年以上続いている。
 高校生になっても、こうして毎日毎日執事に手厚くお世話してもらっている私。

 だけど、このクールで完璧で何を考えているかわからない隙のない執事には、少し飽き飽きしているのよ。


 青春まっただ中の、この私だもの。

 青春時代の全てを、執事と寂しい生活送ってました。というのだけは、御免よ。





 車が信号で停止する。
 私はゆっくりと瞳を開けて車窓から外を眺める。


 交差点で信号待ちをする一人の男の子が目についた。

 自転車にまたがり、携帯電話を操作している彼。次第に私は食い入るように彼を見つめていった。

 綺麗な茶色い髪に、整った顔立ち

 どのパーツも程よく均等にその顔立ちを引き立てている。

 若干幼さを残す、その印象がまた彼の魅力を引き立てている。


 なんと! かなりの超イケメン!

 そうよ!
 これが青春ってやつに必要なものだ。


「ちょっと止まりなさい柏原。あの男の子追って」


 柏原は車を発進させながら、私の指差す彼を確認すると盛大な溜め息をついた。


「お嬢様……」


「ため息ついている場合じゃないわよ! はやく! いなくなっちゃうわ」


 男の子は青信号を確認すると、私達と逆方向に自転車を走らせる。



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