SWeeT†YeN

「嫌よ。何も悪戯しないで待ってるわ!」


慌ててシュークリームのお皿を手にすると、それを口に入れた。

サックリとしたシューに、贅沢にはみ出す程のクリームが最高に美味しいわ!



「そうですか……つまらないな」


甘いクリームに、さっぱりとしたハーブのカモミールは、とてもよく合うわ。


これに免じて今のボヤきは聞かなかったことにしてあげる。




「私は、いい子にシュークリーム食べながらお留守番してるわ」



「三十分程度で戻ります」


柏原は、優しく微笑むと私の額にキスを落とす。


「うん」


「行ってきます」



木の棚に置かれていた車のキーをシャラっと揺らして、部屋の扉を出ていく柏原。

ゴウゴウと音をたてて燃えている暖炉だけがBGMのこの部屋。

柏原がいなくなると、寒さが増した気がする。


 

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