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「亡き人の考えなど、誰にもわかりませんよ。この家は、父方の柏原家の財産でした。俺は産まれた時から、ずっとヨーロッパで生活してきたので、両親の生前にこの家に来たことは一度もありません」
「じゃあどうしてこの家があるって知ったの?」
「弁護士から鍵と地図を預かり相続しました。だから、この家に何故ああいった書物が集められているのか全くわかりません」
そうだったの……
柏原が一生懸命本を読んでいたのは、ご両親の遺されたものだから……
それを感じようとしていたのね。
「読書の邪魔して悪かったわ」
「いえ、お嬢様を咎めるつもりはございません」