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「そんなことは、気にしなくていい!」


「私たち、考えたのよ。娘の茉莉果が愛想つかして出ていっちゃったらどうしよう、って」


「反省しなきゃいけないのは、私たちの方だ」


あら、予想外の展開だわ……


「お父様もお母様も連絡くださらないから、私てっきり……」



「いやいや、柏原くんから事細かに報告を受けていたよ!」


「ええっ?」


柏原、私を誘拐してくれたんじゃないのっ?

涼しい顔している執事を睨みつけた。

「彼にも休養を与えてやろうと思ってたのに、別荘のメイドたちから事情は聞いたよ。彼は中々職業熱心な男だな! やっぱりイタリアから連れてきて執事にした甲斐があったよ」



「えっ……?」




「私も、行ってみたいわ~国内公演さえなかったら、柏原家のログハウスにお邪魔してみたかったのに!」

とても悔しそうに、地団駄踏むお母様。



「柏原、どういうこと?」


お父様とお母様には、柏原の無実も必死に訴えなきゃいけないのかと思ってた。




どういうこと?



「ですから、私は執事としての職務をこなしたまでにございます……何か問題でも?」



なっ……?


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