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「今夜は、もうお休みになられますか? お嬢様。大分お疲れのようでございますね」
まだそれほど遅い時間ではないけど、ボーっと白磁を眺めている私を見て、眠いと勘違いしたらしい。
「柏原もファミレスって行ったことあるの?」
「お嬢様、ファミレスとはファミリー向けレストランの総称でございます。小さなお子様からお年寄りまで……」
「誤魔化さないでよ。そういうことを質問したわけじゃないわ」
柏原は少し怪訝な顔をするけど、怪訝な顔をしたいのは私の方よ。
「私事は、お嬢様にお仕えするに必要のない情報です」
「柏原はいつもそうじゃない……私には何も教えてくれない」
これは、八つ当たりなのかもしれない。
思い通りにならなかった事への憤りを、柏原に八つ当たりしたいだけなのかもしれない。
私が描いた理想のデートと、ナツとのデートは何かが違った。それが歯がゆい。