SWeeT†YeN
「ふん……羨ましいでしょう」
添えていた右手を、ギュッと絡ませる。
柏原の容姿の良さは、理解したわ。
黙らせて連れて歩くには最高逸材ね。
「いかがなさいましたか?」
ゆっくりと歩調を緩めて、私を気づかい極上の笑みをくれる執事。
彼は私のものだもの。
「何でもないわ」
腕は強く絡めたまま、パーティ会場を目指す。
パーティにはエスコート役が必要だ。本当は、ナツにお願いしたのだけれど『無理っ!』 と三秒で断られた。
せっかく出来た素敵な彼氏を親友に紹介したかったのに、ナツは本当にワガママな性格ね。
あれだけ容姿が整っているのだから、きっと周りから甘やかされて育ってきたのだろう。
それはそれで妙に納得出来てしまうからイケメンって多少性格が悪くても得なのね。
ま、それは柏原にも言えることね。