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 会場に入ると、更に強烈なフローラルの香りが漂う。
 
 まさにあの女の好きなそうな装飾と、無駄にゴージャスな来賓客で賑わう会場。


 多彩な生花の演出がまず客人を驚かせ、大きなシャンデリアの出迎えは圧巻だ。

 ビロードの絨毯には正装した男女がところ狭しと談笑していた。

 遠くからはチェロとピアノとヴァイオリンの三重奏が響き渡り、優美で優雅で裕福さに肥えたパーティね。


「まりかっ!」


 カラスの鳴き声みたいな声が私を呼ぶ。その声の主こそ……大親友であり今日の主役の麗香だ。


「麗香、お誕生日おめでとう。今朝パーティーの招待状をくれて本当にありがとう」


 だいたい、常識を考えれば自分の誕生日パーティーの招待状を自分で送りつけてくること自体間違ってるわ。

 そして常識のない麗香は挨拶を無視して私を押し退け、隣にいた柏原に上目使いを送る。


「ごきげんよう。柏原様」

「麗香様、お誕生日誠におめでとうございます」

 柏原は、こんな女に丁寧な挨拶をする。優雅な最敬礼はとても美しい。

 そんなもの私だけにみせてくるてばいいのよ!



「まぁ、ありがとうございます! 顔をあげてくださいませんか?」


 麗香はお尻で私をドンと押すと柏原の手をつかんだ。

 私はよろめきながら、慌てて体制を整えた。

 本当に尻癖の悪い女ね!



「柏原様の相変わらず美しいお顔を見れて、麗香は幸せです。それに比べて茉莉果は全然成長しないわね?」

 麗香は胸元の開いた、深いブルーのドレスの裾を揺らし……谷間を見せつけ、私のリボンで隠された胸元を見てフンと鼻をならす。


 確かに、麗香の方が体は色っぽいかもしれないけど……中身じゃ負けないわよ!



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