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「ありがとう~茉莉果! なんかちょっと感動しちゃったわ……よく燃えそうな熊ね」
麗香はわざとらしく涙を拭うふりをすると、この特大サイズの木彫りの熊を必死に運んできて腰をトントン叩いていた使用人に合図を出す。
「茉莉果がくれたものだから大切に庭に運びなさい。ついでにガソリンかけといてちょうだい」
小さな舌打ちが聞こえて、私は嬉しくなった。
やったわ、今年も麗香が困るプレゼントを贈れたわ!
これで今日の目的は達成ね。
「柏原、しばらくしたら帰るわよ」
目的を達成したら、仇討ちをされる前に引き上げるのが常識よ。
「お嬢様、職人が丹精こめて作りあげた代物をこのような使い方をなさるのは数少ない読者様から反感を買うかもしれません」
「あら、苦情を受けるのは執事の仕事よ。よろしくね」
柏原は、まだ何か言い足りないように庭に運ばれていく哀れな熊の後ろ姿を見守っていた。