SWeeT†YeN



後ろを振り返ると、少し離れた位置に悪魔のような黒いオーラを纏った柏原……


「こわっ」

「どうしたの?」

「なんでもないわ」


自分のポジションを奪われて寂しいのね?

だからって人を殺めてしまいそうな程恐ろしい眼差しで、私達を見ないで欲しいわ。


インナーテラスは、間接照明が用いられ綺麗に飾られたカサブランカやフリージアの花が良い香りを演出している。

パーティー会場の華やかな印象とは違い。薄暗い回路は、ロマンティックな雰囲気だ。


ライトアップされた庭園もとても素敵ね。


ところで私のプレゼントした熊はどこかしら?



「茉莉果ちゃんは、まだ学生さん? 若く見えるけど」

「高校生よ」


「うわっ! こっ…高校生? 大学生くらいかと思った!」


抱かれていた腕が外れたと思ったら、今度は正面に彼の顔が迫る。

私は浩輔の両腕の輪にピッタリとはまってしたみたいだ。


本当に、スキンシップが得意なのね?

海外に住んでいたのかしら?



語学が堪能なほうが執事としては優勢ね。



「浩輔は……」


執事の学校に通っているんだよね。そんなの聞かなくてもわかりきった事だったわ。


「何?」

フワッと柔らかそうな髪が、私の髪と重なり。均整がとれていて整った顔立ちが私の目の前にくる。

柏原より少し幼い浩輔

でも、多分年齢的には二十歳は越えてるかしら?


少年というより、不思議な色気のある青年と例えるとしっくりと当てはまる。


自信溢れる瞳も、女性をエスコートするのが上手いのも好感が持てるし




柏原が殉職したら、次は彼を雇おう……

そうね、そうしましょう!


「そんなに、見つめられると勘違いしちゃうよ? 執事さん見られてるって新しい刺激が最高だね」


頬に、添えられた優しい手が滑るように私の唇で止まる。


< 82 / 554 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop