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後ろを振り返ると、少し離れた位置に悪魔のような黒いオーラを纏った柏原……
「こわっ」
「どうしたの?」
「なんでもないわ」
自分のポジションを奪われて寂しいのね?
だからって人を殺めてしまいそうな程恐ろしい眼差しで、私達を見ないで欲しいわ。
インナーテラスは、間接照明が用いられ綺麗に飾られたカサブランカやフリージアの花が良い香りを演出している。
パーティー会場の華やかな印象とは違い。薄暗い回路は、ロマンティックな雰囲気だ。
ライトアップされた庭園もとても素敵ね。
ところで私のプレゼントした熊はどこかしら?
「茉莉果ちゃんは、まだ学生さん? 若く見えるけど」
「高校生よ」
「うわっ! こっ…高校生? 大学生くらいかと思った!」
抱かれていた腕が外れたと思ったら、今度は正面に彼の顔が迫る。
私は浩輔の両腕の輪にピッタリとはまってしたみたいだ。
本当に、スキンシップが得意なのね?
海外に住んでいたのかしら?
語学が堪能なほうが執事としては優勢ね。
「浩輔は……」
執事の学校に通っているんだよね。そんなの聞かなくてもわかりきった事だったわ。
「何?」
フワッと柔らかそうな髪が、私の髪と重なり。均整がとれていて整った顔立ちが私の目の前にくる。
柏原より少し幼い浩輔
でも、多分年齢的には二十歳は越えてるかしら?
少年というより、不思議な色気のある青年と例えるとしっくりと当てはまる。
自信溢れる瞳も、女性をエスコートするのが上手いのも好感が持てるし
柏原が殉職したら、次は彼を雇おう……
そうね、そうしましょう!
「そんなに、見つめられると勘違いしちゃうよ? 執事さん見られてるって新しい刺激が最高だね」
頬に、添えられた優しい手が滑るように私の唇で止まる。