SWeeT†YeN


「あつっ!」


チーズに惑わされて、予想していたより熱いリゾットに……舌がヒリヒリとしちゃったわ。


「お嬢様、いつも私が申しておりますでしょう?
熱いものはよく冷ましてからと、注意力散漫は身の破滅を招きます」


そういう事は、私がリゾットを口にする前に助言しなさいよ!

柏原は、いつの間にかすぐ横にいて……私の手からスプーンを奪う。


「口の中ヤケドしちゃったじゃないの、柏原の馬鹿」

舌がヒリヒリして痛い!
柏原のせいよ。


熱すぎるリゾットを出したのも悪いし、注意してくれなかったのも悪いわ。

すぐに、添えられた氷の入ったミネラルウォーターのグラスに手を伸ばす。


すると柏原が先にそのグラスを握りしめた。


そして何故かミネラルウォーターを自分の口に含ませたのだ。



「何してるの? 柏原……」




刹那────

それは、本当に一瞬の事だった。



柏原の冷たい唇と
私の熱い唇と合わさる。



冷たいミネラルウォーターと氷が、柏原の舌を介して転がるように私の舌へと滑り込む。
< 89 / 554 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop