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お嬢様の憂鬱
────結局その夜は、柏原の腕の中で、柏原の事が頭がいっぱいになったまま眠ってしまった。
着ていたドレスがネグリジェに変わり、メイクやヘアスタイルまでが綺麗に落とされて目覚めたんだけど。
それは、深く考えない事にする。
熱いシャワーを浴びて、気だるい体のまま朝食の席に着くと、自然とため息が漏れた。
しかも、外は酷い雨が降っている。
「はあ……もう嫌……」
「お嬢様、今朝は食が進みませんね。体調がよろしくなのでしたら主治医を呼びましょう」
ベーグルにスクランブルエッグにサラダのシンプルな朝食。
美味しそうだけど、食欲はない。
「昨夜のパーティーで疲れたのよ」
「困りました。お嬢様は只でさえ食が細く旦那様から朝食だけは必ず残さずに食べさせるように命をうけております」
「じゃあ、また昨日みたいに食べさせて? 柏原」
上目使いで可愛くおねだり。
そうよ、昨夜の柏原はなんか良かったわ。
リゾットを食べさせてくれて優しく抱き締めて、寝付かせてくれるなんて
お母様にもしてもらった事がないのに!
柏原は私の可愛すぎるおねだりに動揺したのか、紅茶をカップから外しそうになり慌ててティーポットを持ち直している。
根本的には性悪サイボーグだけど、たまに失敗するのね。