BLack†NOBLE
『邪魔者が消えたな。安全運転でナポリへ向かう。アリシア、まだ俺に付き合うか?』
バックミラーには、暗闇の山道だけしかうつらない。 ハンドルを持つ手は密かに汗ばんでいる。
『私、降りない……山の中だし』
『残念だな』
蔵人は俺に何をさせるつもりなんだろう?
車内時計は深夜二時をしめした。
この道が続く先は、お嬢様を取り戻し二人へ日本へ帰る為の道だと信じたい。
彼女は慣れないこの土地で、不安な夜を過ごしているのだろうか……
なぜ、俺が傍にいないのか腹をたてているのかもしれない……
夕食は、満足に食べられたのだろうか……
茉莉果、君を抱きしめられたら────俺は至福に包まれるだろうか?