BLack†NOBLE
赤いランプが光り、外部からの着信を告げたあの電話。お嬢様も「出なくていいのかしら?」 と不思議そうに俺を見ていた。
『すぐに日本に引き返せ……そう言ってやるつもりだった。
俺と瑠威は似すぎている。兄弟であることは一目瞭然だろうし、それに顔を見たら、俺は瑠威を手放せる自信がなかった。
ファミリーに取り入れ、俺の元で働かせたいと強く思ってしまう』
全ては────
俺の責任だというのか?
『茉莉果に惑わされるな、大切なモノに拘ると人は弱くなる。
今のお前は、隙だらけだ。
部屋に入り休め、俺もシチリアに着くまでにファミリーの結束力をもう一度強化しておきたい』
心臓が抉り出されたように、酷い吐き気がした。手足が冷たくなる。
壁にかかる、どこかで見たことのある景色は、俺たちの燃やされてしまった家から見えた景色だった……