BLack†NOBLE



マフィアには、『血の掟』と言われるものがある。それは『沈黙の掟』と『服従の掟』によって守られる。


 例え相手が、最愛の恋人だろうと、実の兄弟だろうと掟を破ることは禁じられている。



「それは俺の口からは言えない。掟違反だ」


「ローザに訊けば教えてくれたかもな」


「デリカシーがないんだな……」



 蔵人は何も考えなしに行動する男ではない。




「コッグとグレコには恨みがある。瑠威が泳いでくれたおかげで、いい収穫があった」


「死にかけたけどな」


「お前はあのくらいで死なないと思ってた。瑠威は頭がいい」



「嬉しくない」



 正直、両親の死を悲しんだのは俺一人だと思っていた。ローザの話をきいて、六年を経てその考えは改めなおす事ができた。



 ローザンヌ・メルフィスにも邪気のようなものは一切感じられない。深い湖底のような悲しみを両親と俺たちに抱えて生きている。

< 190 / 509 >

この作品をシェア

pagetop