BLack†NOBLE
乱気流で機体が大きく揺れた。蔵人の起動を塞がないように慎重に止血する。
『蔵人……聞こえるか? 頼むから返事してくれよ……』
あのムカつく声が聞きたくてたまらない。
蒼白な額に大粒の汗が吹き出し……その沈痛な表情が一瞬強くしかめられた。
『……聞こえてる』
体はグッタリと俺に持たれているが、はっきりそう言った。
よかった、生きている。
『死んだら許さないからな。そのまま大人しくしてろ』
蔵人が微かに微笑んだ。
『クロード様……』
『レイジ……瑠威の指示に従えよ……』
血で染まった手が、ゆっくりと俺の手を握り締めた。