BLack†NOBLE
彼女の柔らかな髪は、後頭部でクシャとまとまり盛大な寝癖がついている。
昨夜、髪をきちんと乾かさずに寝てしまったのだろう…… 笑顔を作ることを忘れてしまった、筋肉が強張っていた。
こんなにも愛しいのに……微笑みかけることも不可能だ。
「柏原……酷い顔してる。ちゃんとご飯食べてたのかしら? 夜更かししてなかった?」
心配そうな瞳に、彼女の手が俺の頬に触れる。
払って部屋を出なくては……彼女に伝えなければ……一緒にはいれない事実を
止まっていたはずの涙が溢れ出してしまった。
彼女を心の底から愛している────
「やっぱり柏原、私がいないと全然ダメね?」
「全然ダメか……」
これから彼女がいない人生をどうやって生きていけばいいんだろう……確かに、俺は全然ダメだな。