BLack†NOBLE
彼女の綺麗な手が、自分の血で汚れた手に重なる。
「もう勝手にいなくなったら許さないわよ? 私から離れないでよ。柏原がいなくて退屈だったわ」
「申し訳ございません……」
掠れた声が酷く情けない。この想い断ち切れば、俺は強くなれるのか?
意志とは裏腹に、両手が伸びて力の限りキツく彼女を抱き締めていた。
その唇を奪い真っ白なシーツに倒れ込む。
約束なんてできないのに、これが最後だと自分に言い聞かせた。
心の中で何度も謝罪をしながら、それでも彼女を求めてしまう。
もし、人生にやり直しがきくなら
俺は貴女と出会わないほうがよかった。
「でもね、柏原は絶対に迎えに来てくれるって信じてたわ。日本に帰りましょう。
大好きよ……柏原」
こんなにも辛い別れが待っていたのなら……