BLack†NOBLE
そのことが、こんな未来を示唆していたなんて……
父はメルフィスの顧問として、どんな働きをしたのだろう?
レイジが言うには、弁護士みたいなもので直接悪事に関わる仕事じゃないと言っていた。
だけど、息子たちをいずれ組織の頂点へと育てていたなんて、下克上もいいとこだ。
父のことは、尊敬していたのに……
俺たちには拒否権すらなかった。産まれてきた時から、そう育てられてきた。
父は厳しく弱音を吐くことを許さない人だった。
いや、でも逃げ道は沢山あった。俺は、この運命から免れる方法はいくつかあったはずだ。父は、それを完全に塞いだわけじゃない。
父は学業を終えた俺に「あとは好きに生きろ」と言った。
でも、蔵人には違った。それが二人の衝突の原因になっていた。
俺だけが…… 何も知らずに、生きていた。
考えれば考える程、思考はどす黒い螺旋の階段を転がり落ちていく。