BLack†NOBLE


 壁に背をつけて座りこむと、ジェロが心配そうにこっちを見ていた。




 婚約を誓って、たった数日。こんなにも愛している強烈な彼女を手離した。


 あんな女、二度と出会えないだろう。





 衝動的に、スーツの内側から蔵人の拳銃を取り出し弾丸を装填させる。

 安全装置を解除してスロットルを引く。



 こんなことだけは、器用にできるんだ。その一連の動作は、スムーズで無駄はない。目を瞑っていてもできてしまう。


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