BLack†NOBLE
17.diciassette
────蔵人の寝室は、白いタイルの床にブラウンのベッドが一つ置かれただけのシンプルな部屋だ。
真っ白なベッドカバーとシーツには、シワ一つなく綺麗に整えられている。
「蔵人……」
兄の瞳は、かたく閉ざされている。蒼白く静まりかえった寝顔は、生きているのか死んでいるのか……判断が難しい。弱々しく繰り返される微かな呼吸が蔵人らしくない。
『一命は、とりとめたのですが……』
『ですが……? 医者なら確りとした症状を述べろ』
蔵人の移動に伴い、病院から医者と看護士二名を動員した。
白衣を脱いだ医者は、まだ若く俺たちと然程年齢はかわらないだろう。その顔は、胡散臭ささを感じて好感は持てない。