BLack†NOBLE
円形に置かれた椅子。その横の小さなサイドテーブルには、クリスタルのワイングラスが置かれ、ボルドーのワインが注がれた。
誰も口を開かない。耳鳴りがする程の沈黙の時。
『クロード・メルフィスの弟だ。ここに来たのは、蔵人が回復するまでの間、お前たち組織に協力してもらいたい』
俺はやっと血が止まった右手でワイングラスを掴む。
まず、真っ先にグラスをとったのはラテン系の髭をはやしたシチリアにいた男だ。名前は、確かカルロだ。