BLack†NOBLE

 残りの男たちは、疑わしそうに俺を睨みつけた。


『なぜ、カルロはこの男と盃を交わそうと思える? 弟だなんて言っても、この男は異国に住み、俺たち誰も会ったことがない。

 誓いをたてたとしても、ボスが倒れたからと現れるのは不自然だ』


 カルロと目が合う。


『ローザンヌ様が、すぐに彼に手を差し伸べた。愛しそうに目を細めた。それを俺は間近で見た。

 ローザンヌ様が招き入れた奴を信頼しないわけにはいかない』


 助けてくれるつもりか? それとも、他の魂胆があるのか?

 どちらでもいい。この場をやり切れば組織の一員としてある程度の自由が約束される。


 コッグたちに復讐してやる間だけだ。蔵人が目覚めれば、また状況はかわる。




『俺は、コッグとグレコに両親を奪われた。兄を傷つけられた。この中で誰よりも奴らを憎んでいるのは俺だと思う。

 他に何か理由がいるか?』


 グラスを持て……盃を交わせ。

 お前たちの力が借りたい。



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