BLack†NOBLE
グラスを掲げる。男たちもグラスを手に持ち立ち上がると、俺に倣う。
宙で合わさる盃。それを一気に喉へと流し込む。生温いワインだ。
男たちが従った……。
『お前たちの叡智を聞かせて欲しい』
椅子に座りギシッと鳴らせて足を組むと、レイジが葉巻の箱を差し出す。
それを断ると、カルロが口を開いた。
『難しい話は抜きだ。コッグとグレコは俺たちに攻撃を仕掛けてきた。奴らを潰すという話し合いと解釈していいか?』
こうして見ると、一番最年長だろうか……それでも四十くらい。他の奴等は予想より若い顔触れだ。
『いいだろう』大きく頷いた。
『シチリアでは、他組織の侵入は許さない。問題は本土にある』
右隣の一番若い男が、ギリッと奥歯を噛み締めた。黒い髪を、オールバックに固めている。
『侵入を許さなくても、ボスが撃たれただろ!』
『何を……!』
『待てよ。いきなり身内で言い合うな』
二人は睨み合ったまま黙る。
ふざけるな。けっこう脆い結束力だな。