BLack†NOBLE


『コッグとグレコの本当の狙いはなんだ? 蔵人の命か? メルフィスの組織力か? 金儲けか? そこがわかないと潰しようがない』

 素直に訊いた。


『奴等は、ここやナポリに南下してきている。ヤクを餌に戦力を増やし……一気にイタリアを乗っとるつもりだ。おまえ、本当に何も知らないんだな?』


 眼鏡をかけたインテリ野郎が、そう言った。 ムカつくな。こんな場所で会わなければ、絶対にマフィアには見えない。

『コッグとグレコが何故ボスを恨んでるのかも知らないのか? うちのシマには、まだ余所者は来ていない』

 幹部の中で、一番ラフな格好をした長髪は馬鹿にしたように鼻で笑う。チャラいホストみたいだな。

 チラッと俺を見てから、ワインを口にする。それからサイドテーブルに用意されていたマスカットを一粒口に入れた。


『南部は魅力がないんだな』

 オールバックがクスクスと笑うと『セシル! てめぇ!』と長髪野郎が胸ぐらを掴む。
  

『だから、いい加減にしろよ』


 オールバックが北
 インテリ眼鏡が中部
 長髪ホストが南

 それにシチリアのカルロ……。



『コッグとグレコは、元々組織の中でも異色者だった。金儲けの話ばかりする奴らに嫌気が差していたファミリーも多かった。
 俺たちの頂点は、クロード様がもっとも相応しかった』








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