BLack†NOBLE
19.diciannove
────早朝の静かな時間は好きだ。皆が寝静まるこの時間に、自分だけが動き出し、彼女の寝顔を独り占めしている。
着崩したスーツ姿で、愛しい彼女の額に口づけをした。
手放せなかった……どうして、俺はこんなに弱い男なんだろう。たかが小娘一人に、悩まされて振り回されてばかりいる。
部屋を出ると、蔵人のところに向かった。
『瑠威様、おはようございます』
『レイジ、お前休んでるのか? ずっと働いてるだろ』
『いえ、体力だけが取り柄です。それにクロード様を守れなかった責任があります』
『はいはい、そうか。蔵人も愛されて幸せだな』