BLack†NOBLE
『や……やめて……お願い! 話すから! あなたを部屋に連れて行けば千ユーロ出すって言われたの! マフィアだったなんて知らなかった。お願い、許して……』
『たった千ユーロか、安いもんだな? 俺を売る気だったわけか』
『ごめんなさい……』
額に押し付ける銃口をそのままにして『レイジ! カルロ!』と二人を呼んだ。
裏路地には、レイジとカルロ以外にも何人ものファミリーが姿を見せた。
何人じゃないな、何十人だ。俺はそんなに世話が焼けるのか? こんなにお守りが必要か? と、いたたまれない気持ちになった。
『女に三千渡せ、殺されないよう見張りもつけてやれ。コッグとグレコの元に行ってもらう』
女はボロボロと涙を零した。
『瑠威様、どういうことでしょうか?』
『“明日の日没、ムラーノで待っている。武器はいらない、話をしよう”と伝えて来い。いいな?』
女は首を横に振った。
『今、ここで死ぬか。メッセージを伝えて三千ユーロの報酬をもらうか、どちらか選べ』