BLack†NOBLE
21.ventuno
────水の都ベニス。ロマンチックな街並みと、水路を行き交うゴンドラ。
つい数日前、彼女と乗ったゴンドラでは今宵も船頭がカンツォーネを歌っている。
Maun altro sole
piu bello non c'e
ll sole mio
もう一つの太陽
尚、一層輝かしい太陽
こんな暗い夜に、眩い光を放ち俺を導いてくれるのか?
カジノを出てから、さらに一日が経過していた。ミラノから連れてきたオールバック野郎が、俺の隣で顔をしかめて歩く。
『そんな顔されても、俺もお前なんかと歩きたくない。コッグたちからのご指名で、セシルを連れて来いって言うから仕方ないだろ』
北イタリアに多いゲルマン系の顔立ちだ。ミラノは観光業だけじゃなく、金持ちも多い。
『この顔は生まれつきだ。生ぬるいこと言うな』