BLack†NOBLE
22.ventidue



────最悪だ。





『掃除屋を呼べ……くそ、セシルそれに、コッグとグレコは即死だな……』


『メルフィスには負傷者もいません』と得意気に言ったカルロの頬を蔵人は力の限り殴り飛ばした。






『殺せば俺の敗けだ。行くぞ』



 コッグもグレコも、俺を撃つチャンスは沢山あったはずだ。何故、こんなことになったのだろう?

 血なまぐさいラウンジを出て、なるべく何も目に焼き付けないようにして蔵人の背中を追いかける。



『瑠威様、大丈夫ですか?』


 レイジに支えられて、自分の体が震えてると知った。その腕を払いのけると、必死に蔵人を追いかける。


 子供の頃から何も変わってない。俺はまた今日も蔵人の背中を追いかけている。




「瑠威、顔をあげろ」


「わかってる……」


 ラウンジを出てエレベーターに乗り込む。


「今は何も考えるな。命令だ」




 何度挑んでも、いがみ合っても、誰を巻き込んでも、何人殺しても、イタリアマフィア最大の権力を握るメルフィスを操れるのは蔵人しかいないだろう。




< 377 / 509 >

この作品をシェア

pagetop