BLack†NOBLE
────屋敷の東側に朝食をとる為だけの部屋がある。朝日を存分に浴びれる贅沢な部屋だ。
アーチ状の出窓があり、六角形のダイニングテーブルが置かれている。
部屋の半面が窓ガラスになっていて、朝日が程よく差し込んでくるのだ。
ダークブラウンのテーブルの中心には、フルーツやサラダやヨーグルトが用意されている。焼きたてのグリッシーニとフォカッチャは、たった今バスケットで運ばれてきた。
『ギャーーーッ!?
ちょっと瑠威! その女、どこで拾ってきたのよ! 私の許可なしに、勝手にクロードの屋敷に招かないでよね!』
朝食の席では、蔵人とアリシアが既に食事をしている。日本と違い、皆が揃ってから……という風習はない。
そういえば、アリシアと彼女は初対面だ。
『煩い、黙れ、馬鹿女』
『ひどっ! 酷~い。クロード、今の聞いた? 瑠威ってば、ああやって私の事苛めるの!』
蔵人は、アリシアを無視してエスプレッソを啜る。
「おはよう、茉莉果。よく眠れたか?」
「お兄様、おはようございます。昨夜、お兄様が差し入れてくれたティラミス凄く美味しかったわ」
彼女は、手のひら返したように蔵人になついていた。
「……ティラミス!? いつの間に」
蔵人が両手を広げると、彼女は吸い込まれるように蔵人に抱き着き……
ほっ……頬にキスまで許した……!?
『レイジ、俺が預けた拳銃を持ってこい。まだ弾丸が残っていたはずだ』
『瑠威様、あの拳銃は元々クロード様の物です』