BLack†NOBLE
くーたんとるーたんの、はじめてのお留守番
────時は遡り。蔵人五歳、瑠威三歳。
漆黒の髪は、艶やかで柔らかく。幼いが整った顔立ちは、通りすがりの者ですら思わず微笑んでしまう程に可愛らしかった二人。
彼等は、両親の愛情と平和な日々の中、健やかに成長していた。
自分たちが背負う過酷な運命を知らなかった。
「瑠威、行くぞ!」
兄が紅葉(モミジ)のような手をさしのべると、弟は頷き兄の手をキュッと握り締めた。
大きなリュクサック、飛行機のアップリケが可愛らしいデザイン。二人は、お揃いのそれを背負い。母親の元に駆け出す。
「蔵人、瑠威! おかえりなさいっ」
整った顔立ちをした兄弟に、美しすぎる母親。美しい聖母の腕の中には、必ず美貌の神の子がいる。きっと誰もが、彼らを親子だと認めるだろう。