BLack†NOBLE
蔵人は、「ふーん」と興味なさそうに頷き。瑠威は、「抱っこ」と母に甘える。
藍が、瑠威を抱き上げて蔵人の手を引いて保育園の門を外に出ると、道端には一台のマセラティ製の高級車がハザードランプを点滅させて停まっていた。
左側の運転席には、真っ黒な髪と同じくらい黒いサングラスをかけた男が三人を見守っている。
男が車から降り立つ。
長い手足に、上品な黒いスーツが良く似合っている。
少し危険な香りがする男は、サングラスを外すとシャープで冷たい印象の顔をしている。
無口なのか
無愛想なのか
だけど、大きな手のひらで息子たちの頭を順番に撫でる目は優しい。後部座席のドアを開けた。
「今日は、二人とも喧嘩しなかったんですって! よかったわ。ここの保育園に馴染んできたのね」
蔵人が自分で車に乗り込み、瑠威は母の腕から後部座席に座らせてもらう。
後部のドアを閉めると、佑はすぐに助手席のドアを開いて藍に手を差し伸べる。
紳士的な対応は、素早く熟練されたマナーが染み付いた男の証。
「ありがとう、佑」
藍が微笑み、佑の頬にキスをする。
「チューした」と無邪気な瑠威が指差す。
「見るな」と蔵人は、また唇を尖らせた。