BLack†NOBLE
不利な状態で拘束されながらも余裕の笑みを浮かべた瑠威に、 男は怒りとは別の感情が芽生えた。
牢の番人から鍵を奪うと、中に入る。
瑠威は両手足を拘束されている為に身動きはできないが、顔をあげた。
『兄貴もムカつく男だが、弟は更にムカつくな。メルフィスのせいで、うちの企業がどれだけ不利益を被ったことか……』
男は瑠威の綺麗な顎を掴み、利き手で力いっぱい殴りつけようとしたが、 その顔があまりに美しく、芸術作品を破壊するような無慈悲な行為に及ぶような心理に追い込まれて…… 手は空で止まった。
瑠威の鋭い黒い瞳は、男を睨みつけたままだ。
『本気でムカつく面だ……よく似ている。この顔で、あのアリシア・キースまでも魅了したなんて、俺は彼女のファンだったのに……彼女の主演する映画にも多大な金を送ったのに』
『あの馬鹿女はやめといたほうがいいよ。何ならオマエにやるよ』