BLack†NOBLE

『馬鹿女!? 彼女は、ヨーロッパでも最も格式あるトリノ大を中退して女優の道を目指した女だぞ? 頭が悪いわけないだろ!』


『蔵人と俺は、そこを首席で卒業してる。中退なんて馬鹿だな』


 男はグッと息をつまらせた。

 言葉でやりあっても、勝ち目がないと判断したのかもしれない。



『アリシアが好きなら、蔵人に抱かせてくれと頼んでみたらどうだ?
 蔵人は、店の営業を許可するよりアッサリと自分の妻を差し出すぞ』


 兄には、女に対してあまり束縛意欲がない。

 むしろ自分に惚れている女が自分の前で辱しめを受けるプレイに喜ぶタイプだ。

 何の問題もないよ、とあざ笑った瑠威に、男の拳はワナワナと震えた。

 その様子を見て拘束されて圧倒的に不利な瑠威は微笑む。



───この程度か……蔵人に勝てるはずがないだろ。



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