透明な日々に色を
紅茶を2ついれ、
彼女の指示通り赤いマグカップを彼女の前に置く

「ありがと!」

そう言って両手でマグカップを持ち口に注いだ

「おいしい!これなら毎日飲みたい」

にこりと微笑む彼女

栗色の髪の肩より少し下の毛先が揺れている

「あのさ、よくわかんないけど今まで住んでたとこは?なんで突然?なんで俺んちなんだ?」

今日一番話したと思う

勢いよく質問攻めをすると

「うーん!話すと長いから最後の質問にだけ答えよう。ただ会いたくなったからだよ」

「え?」

「ね!お願い!そんなに長い間いないから!いる間家賃払うし!」

手を合わせて上目使いで僕を見る


そうやってうまくやってきたに違いない!

でも

ただ、会いたくなった

そんな一言にちょっと気を許してしまう自分も嫌だが、
断る理由も特にないし、元彼女とはいえど、もう10年も前の話だ。

家賃も少し払ってくれるなら

それになんだか追い出すことができない気がする。


そう言い聞かせ、

「わかったよ。一部屋余ってるからそこ使いなよ」

少し冷めた紅茶に手を伸ばしそう話すと彼女は一瞬真顔に戻ったがすぐにまた、口角をあげ

「わあ!ありがとう!これからよろしくお願いします」

僕はまだ夢の続きを見てるのかな?


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