透明な日々に色を

猫とチョコレート

昔から捨て猫を放っておくことができなかった

でも拾って帰ることができなかった

えさだけあげて誰かが拾ってくれるのを願う無責任な人間だ。

でもナナセは違う。
捨て猫を見つけたら
「こんなとこにいたら死んでしまう。私が飼う」

と言って拾って帰り、育てていた

あの猫の名前はなんだっけ・・・


「こらこらこら!弱すぎ!」

大きな声にびっくりして目が覚める

「人がトイレに行ってる間に寝ないでよー!」

ああ。そうだ

引っ越しパーティーだとか言って二人で飲んでいたんだ。


「ごめん。なんか色々考えてたら眠くなっちゃって。」

軽く酔っぱらったかな

というか赤ワインとイカの塩辛という組み合わせが僕の気分を悪くした気もするが・・・

でもそれ以外のメニュー
ナナセが作った真鯛のカルパッチョ、玉葱のゴルゴンゾーラ煮、キャベツとアンチョビのペペロンチーノ、
どれもおいしかった。

「でもナナセ料理得意なんだな。そんなイメージなかったけど・・」

「失礼な!10年もたてばうまくなるよ!」

「ごめんごめん!でもナナセバレンタインにチョコくれたよな!なんてやつだっけ・・・えっと・・・」

「え?」

ナナセがびっくりした顔を見せる。

「僕だってそれくらいは覚えてるよ!でもなんてチョコか忘れたんだ」

「えーと、トリュフ?」

「そうだ!それ!学校で作ったみたいだけど砂糖と塩間違えたとか定番なミスしたんだよな!」

そうだ。しょっぱいっていったら、もういい!とか言って自分で食べて、しょっぱいって言って笑いあったなぁ

一生懸命作ってくれた気持ちで十分嬉しかったんだけどな

「また作ってよ!塩味トリュフ。」

ムッとした表情をしている彼女に皮肉な感じで言ってみる

「もう同じものは作れません!」

そういってグラスに入った残り少ないワインを飲み干した

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