透明な日々に色を
「じゃあ行ってくるから」

グレーのシャツにジーパンというラフな格好でケイスケはスニーカーを履き、振り返った
彼の仕事はwebデザインのようで出勤はラフな格好でいいそうだ
スーツ姿を期待していた私は少し残念な気持ちになった

「いってらっしゃい」

軽く左手をあげ、横にふると彼もにこりと微笑み扉を閉めた


「新婚みたい」


一人になった部屋でつぶやいてみる
一人になった部屋はしんとして
なんだか一気に老け込んだ気がする

静まりかえった廊下を戻り用意してくれた6畳ほどの部屋にはいる

小さい窓がひとつ

でも充分に明るい部屋
客用の布団を借りたので、リビングの横のベランダに干すことにした

ベランダから町を見渡す

中々いいながめ

気に入った

そう心で思い、かついでいた布団を干す

コンクリートのベランダは冷たくひんやりしていた

布団にもたれかかりくるりとむきをかえ
空にむかって手を広げる

空はとっても青く
広く

全てがどうでもよくなる


ケイスケ

あなたと暮らせることは

私達にとって幸せな事ではないよね

でも私は幸せなんだ

あなたを近くで憎めるから

そっと目を閉じ
閉じてもなお明るい空の青がまぶたに焼きつく

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